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アクアリウムと時間的価値の評価

 

 

アクアリウムは時間的な視点で眺めることで価値や評価が変わります。

 

ADA天野氏はレイアウトの長期維持を評価し大事にされている。

自然を水槽内に再現するレイアウトであるネイチャーアクアリウムの第一人者である彼は長期維持を視野に入れ工夫を凝らすのです。

 

自然は時間の重なりから成り立っているため、自然を意識したレイアウトには時間軸の視点が重要になってくるのでしょう。

時間を重ねる事で量を増す水草の葉や勢力範囲図、強固になったコケと水の流れを意識した石の配置は自然そのものです。

 

しかしながら、ADA主催のレイアウトコンテストに出品される作品はジオラマ的な傾向にあり、彼は否定しないものの、紙面では自然の表現と長期維持という視点について熱く説かれています。

 

 

私はかつて、人から評価される魚は何だろうと考えたことがあります。

趣味は個人で楽しむもので他人からの評価などいらないと考える方も多いことでしょう。

 

しかしながら、アクアリウムに限りませんが、レイアウトコンテストや金魚、錦鯉、グッピーなどの品評会などが昔から開催されます。

また、珍しい魚や価値のある魚を手に入れて評価されたいと思うのは、純粋なマニア心というものではないでしょうか。

 

ですが、珍しい魚というのは分かる人にしか分からないものです。

また、日本での飼育数が一桁の魚も、お金を出せば手に入ります。

しかも100万円以内でそういった価値が手に入る趣味の世界です。

それ以上の高価な魚も存在しますが、結局のところお金で解決できる話ということになります。

 

私も日本に数匹の魚を飼育していますが、お金を出せば誰でも手に入るんだなと思ったときに何か虚しいものを感じました。

マニア心としては満たされるのですが、何かが足りないのです。

品評会で賞を貰うなら話しは別ですが、珍しい魚を手に入れるだけでは、何か物足りないものを感じるのです。

 

ある日、気がついたのは時間軸の視点でした。

10年以上前のアクア雑誌だったでしょうか、そこにアロワナナイフの記事が書かれていたと思います。

そこには「こういった魚を時間をかけ仕上げることで玄人を唸らせることができる」といった内容が書かれていたと記憶にあります。

 

自分で飼育した時間はお金を出してすぐ手に入るものではありません。

長期飼育をして環境に慣れて仕上がった魚の凄みの類も同じです。

その考えが頭を過ぎってから自分の中の価値観が少し変わりました。

 

長期飼育というのは大変なものです。

何年も飼育していれば器具の故障で水質が悪化したり、飼育者が病気になって管理が滞ってしまう事もあるでしょう。

当然ながら魚も病気になってしまいますし、魚同士のトラブルや飛び出し等のたくさんの事故が発生します。

 

私が8年くらい飼育をしていたポリプテルスを死なせてしまった原因は、ヒータートラブルによる水温上昇でした。

放置していても長期飼育できる場合もありますが、このようなトラブル等を乗り越えて年を重ねた魚は飼育者の努力の結晶とも言えるでしょう。

 

この努力の賜物が、玄人だけならず多くのアクアリストから飼育魚のみならず飼育者まで評価されることは疑う余地がないでしょう。

 

合わせて、レイアウト水槽も自分で長期維持するのは難しいものです。

葉のトリミングやコケ対策、肥料のバランス等、美しさを維持していくことは、とても難易度が高いのです。

その分だけ評価が高くなるのは当たり前ではないでしょうか。

 

 

水草レイアウトも魚の飼育も、長期維持という点が評価に値するものであるという類似点があると思います。

当然ですが、何を評価するのは個人の自由であり、強要されるものではありません。

 

とりあえず今の私は、長期的な時間軸の好評価を支持しております。

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