採集の決まり
採集には決まりがあります。このページではアクアリスト視点で採集の決まりを大まかに説明します。
より詳しい情報については「調べる」を参考にしてください。
※淡水域での採集を主に取り扱いますので、海水域での採集は検索してください。
参考:月刊アクアライフ2017年8月号37ページ(猪田氏記述)参照・川魚の飼育と採集を楽しむための(著者: 松沢陽士)・水産庁・wiki
主な決まり
採集の決まりは様々なものがあります。捕獲禁止でしたり、採集が禁止されている場所などです。
「外来生物法」
「国指定天然記念物」
「国内希少野生動植物」
「地域指定天然記念物・条例など」
「遊漁に関する制度」
ここでは以上の5つを大まかに説明します。
外来生物法
詳しくは「飼育の決まり」をご覧ください。
外来生物法により、危険な生き物は特定外来生物に指定されます。特定外来生物に指定されると飼育や
生きたままの運搬、譲渡、販売などが禁止されます。ですので、特定外来生物を採集し生きたまま持って
帰ると違法となるので気をつけてください。
国指定天然記念物
種および生息地、繁殖地などが文化財保護法で扱われており、飼育や採集、運搬、などが規制されます。
また世界的に又は国家的に価値が特に高いもの、として特別に指定されたものを特別天然記念物という。
多くは、その地域周辺に注意看板があるものと思われます。
(リンク先:環境省また文化遺産データベース)
特別天然記念物
・鯛の浦タイ生息地 (千葉県):
天然記念物
・アユモドキ(地域を定めず指定)
・イタセンパラ(地域を定めず指定)
・ミヤコタナゴ(地域を定めず指定)
・ネコギギ(地域を定めず指定)
中村川ネコギギ生息地(三重県松阪市)
・テツギョ 魚取沼テツギョ生息地(宮城県加美郡加美町):日本のフナの突然変異といわれる。
・ヒブナ 春採湖ヒブナ生息地(北海道釧路市):ギンブナの突然変異といわれる。
・アラレガコ アラレガコ生息地(福井県):アクアリストにはアユカケで知られる。
・イトヨ 本願清水イトヨ生息地(福井県大野市):陸封型イトヨの生息地の南限として知られる。
・ハリヨ 津屋川水系清水池ハリヨ生息地(岐阜県海津市):世界的な分布南限の一つとして知られる。
・ウグイ 横山のウグイ生息地(宮城県登米市):不動尊のお使いだといわれる。
・ 柳津ウグイ生息地(福島県河沼郡柳津町):弘法大師が虚空蔵尊を刻んだ木屑が姿を変えたという。
・ ウナギ 賢沼ウナギ生息地(福島県いわき市) :沼之内弁財天境内の池に住む大ウナギ。
・粥川ウナギ生息地(岐阜県郡上市):山道で迷った藤原高光をウナギが道案内したという伝承がある。
・オオウナギ オオウナギ生息地(和歌山県西牟婁郡白浜町)
・母川のオオウナギ生息地(徳島県海部郡海陽町)
・オオウナギ生息地(長崎県長崎市)
・深泥池生物群集(京都府京都市):稀少な動植物を擁する地域。
・明神池(山口県萩市):海に通じている汽水湖であるため、淡水魚と海水魚が生息している。
国内希少野生動植物
国内希少野生動植物種は、「販売・頒布目的の陳列・広告、譲渡し、捕獲・採取、殺傷・損傷、
輸出入など」が原則として禁止されています。
魚種
地域指定天然記念物・条例など
地域限定をした国指定天然記念物や、地方自治体ごとに天然記念物、希少種保護条例によって
採集や飼育が規制されている場合があります。特にこれらの規制の把握が難しく、採集者を
悩ませるところでしょう。
以下に代表的な指定例を記述します。
・ウメボシイソギンチャク(真鶴半島沿岸):神奈川県指定天然記念物
・サンゴイソギンチャク(真鶴半島沿岸):神奈川県指定天然記念物
・ウシモツゴ:岐阜県、愛知県豊田市、愛知県西尾市
・カワバタモロコ:静岡県、三重県、岡山県、香川県など
・ミナミアカヒレタビラ:富山県、島根県
・イチモンジタナゴ:滋賀県
・トサシマドジョウ:高知県
・ヒナイシドジョウ:高知県
・ホトケドジョウ :石川県、神奈川県相模原市、岐阜県岐阜市、新潟県長岡市など
・ハリヨ :岐阜県梅津市、岐阜県池田町
・イバラトミヨ雄物型 :山形県東根市
・ムサシトミヨ:埼玉県
・オヤニラミ:京都府、香川県、徳島県
・ヒナモロコ:福岡県田主丸町
・イドミミズハゼ:高知県指定希少野生動植物
・トビハゼ:高知県指定希少野生動植物
・花巻矢沢地区のゼニタナゴ生息地:岩手県指定
・若畑沼鉄魚生息地:山形県指定
・厚岸床潭沼の緋鮒生息地:北海道指定
・津島の透明鱗のギンブナ:市指定
など
上記は代表例であり、全てではないことに注意してください。また、指定増減のため将来的にリストから
外れる可能性もあります。ですので、採集される場合は採集地とその地の条例をよく調べてください。
「各都道府県名」+「指定天然記念物」又は「各都道府県名」+「稀少野生動植物種」で検索してみましょう。
指定されている魚種を見ると、あまりメジャーではない魚たちの名前が多いように思えます。
あまり馴染みのない魚を採集したら調べてみることをお勧めします。
内水面の遊漁に関する制度
一般の遊漁者が釣り等を行う場合、河川・湖沼等の公共の用に供されている水面(水産動植物の採捕に
関し一般の使用に供せられている水面であり、敷地の所有者等、私人の占有下にある水面は除く)
においては、水産資源の保護培養・漁業調整等の観点から、漁業関係法令によって漁業の他、
一般の釣り等を制限している場合があります。(水産庁より引用)
このような決まりは各都道府県ごとに決められているため、採集に行かれる場合には調べておく必要が
あります。基本的には「各都道府県名+内水面漁業調整規則」で検索します。ですが、各都道府県の
ホームページでは殆どの場合、これら内水面漁業調整規則を一般向けに説明したページが用意されて
いるので活用してみましょう。
漁具・漁法の名前を見ても頭に思い浮かばない場合があります。
検索の他、国土交通省:川の漁法ページが参考になります。
河川・湖沼を内水面と指していますが、中には例外があります。以下に記述するものは海面として扱われる
ため、内水面に関する規制外となります。
サロマ湖、風蓮湖、温根沼、厚岸湖、霞ヶ浦、北浦及び外浪逆浦、加茂湖、浜名湖、琵琶湖、中海
遊漁・海面利用に関する制度
魚釣りなど水産動植物の採捕は、自由に何でもできると思われがちですが、法律や都道府県の漁業調整
規則等によって、水産動植物を採捕する際に使用できる漁具漁法、禁止区域、禁止期間、魚種ごとの大き
さの制限、夜間の照明利用の禁止や制限など、様々な規制が決められています。
これらの規制は魚など水産動植物の繁殖保護や秩序ある漁場の利用のために定められているものです。
(水産庁より引用)
海での採集にも決まりがあるため、都道府県漁業調整規則を調べておく必要があります。
「各都道府県+漁業調整規則」で検索する他、各都道府県のホームページには一般向けの解説ページが
用意されているため必ず目を通しておきましょう。
また、このサイトを見ている愛好家の皆様は爆発物、有毒物を使用することはないと思いますが
3年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処せられる可能性があるので注意しましょう。
遊漁で使用できる漁具・漁法にピンとこない方は、こちらが参考になると思います。
水産庁:都道府県漁業調整規則で定められている遊漁で使用できる漁具・漁法(海面のみ)
マリンアクアリウムで人気のある造礁サンゴ類は漁業調整規則や保護区指定などで採集の
規制がされています。心あるアクアリストの皆様は見かけても傷をつけないように気をつけましょう。
※注意
ここに記述されていない決まりもあるかもしれません。
もしお気づきの点がありましたら、ご連絡ください。